息苦しい
息苦しさの原因
息苦しさを感じる症状には、肺の疾患、心臓の疾患、貧血、精神面によるもの、体力面によるものなど、様々な原因が考えられます。
中には、血中酸素飽和度が低下していることが原因の場合もあります。近年はコロナウイルス感染症で血中酸素飽和度がメディアでも多く取り上げられましたが、この値が低下している場合は何か重篤な病気の可能性もあるため注意が必要です。
息苦しさを引き起こす様々な要素
肺が何らかの病気に侵されたことで息苦しさを感じている場合は、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、気胸、間質性肺炎などが原因として考えられます。また、心臓の病気の場合は、心不全、心臓の弁の病気、不整脈などが可能性として挙げられます。
その他では、貧血が原因のものや、ストレスや過換気など精神面が原因のもの、また体力の低下や更年期障害の症状の一つとして生じることもあります。
診断
診断の順番としては、まず気管支喘息発作、肺血栓塞栓症、自然気胸、肺炎など緊急性が高い病気の可能性を除外し、その後は順次頻度の高い病気の可能性を除外していきます。
問診を行った後に血中酸素飽和度を測定し、胸の聴診、胸部エックス線検査へと診断を進めていきます。CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。もし精神的な原因の可能性がある場合、心臓の病気の可能性がある場合も連携する医療機関をご紹介します。
息切れ
息切れとは、じっとしている時や動いた時に呼吸が苦しく感じる状態で、人によって自覚症状は様々です。中には動悸を併発する方もいらっしゃいます。息切れを起こした際には、自己判断で放置せずに、医療機関で問題が無いかしっかり検査しましょう。もし、1週間以内に急速に息切れを発症した方は、直ちに受診してください。以下のような症状がある方は、息切れを発症していると考えられます。
- 平坦な道を歩いていると息苦しさを感じる
- 階段を登るのに辛さを感じる
- 呼吸をしても、空気が入ってこないように感じる
- 歩くスピードが落ち、同年代の人と同じペースで歩くことができない
- じっとしていても息苦しさを感じる
- 常に酸素が欠乏しているような感覚がある
原因
息切れの原因は、肺や気管支による呼吸器疾患であることが多いですが、それ以外の原因も考えられます。
呼吸器疾患の場合は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺がん、胸水貯留、肺塞栓などが考えられます。
肺気腫は、喫煙習慣によって肺の組織が破壊されてしまった状態です。肺気腫になり、呼吸機能障害が生じると慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断され、年単位で徐々に息切れが悪化していく傾向があります。
気管支喘息は、調子が良い日や悪い日の波があったり、季節や気温の影響を受けたりと症状に変動があるのが特徴です。
肺塞栓とは、肺の血管に血の塊が詰まることで呼吸困難に陥る病気です。主な症状は、急に息切れを起こすだけでなく、胸の痛みを感じたり、血痰を伴うこともあります。
1週間以内など急激に息切れ症状が出た場合には、喘息や心不全・不整脈など緊急性の高い病気である可能性が十分に考えられますので、早急に受診してください。
問診・検査
問診では、息切れが発症した時期やどのようなタイミングで起こるのかなど、詳細な確認を行います。また、過去の既往歴や喫煙歴なども重要な情報です。身体所見では、聴診で肺雑音や心雑音を確認し、続いて眼瞼結膜に貧血所見や足の浮腫などの心不全兆候がないかなど、全身を細かく確認します。また、低酸素血症の有無を調べるために、パルスオキシメーターでSpO2を測定します。
呼吸器の病気の可能性がある場合は、胸部エックス線検査、肺機能検査で胸部の状態を確認します。CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。
心不全や狭心症の可能性がある場合は、心電図・胸部エックス線検査に加えて、血液検査や心臓超音波検査などを行います。これらの他の疾患が原因である可能性がある場合は、血液検査でヘモグロビン値や甲状腺機能を調べることもあります。
息切れの程度
mMRCスケール
息切れの程度を測る基準として、mMRCスケールというものがあります。同年代と同じペースで歩くことができるか、着替えなど普段の動作でも息切れを起こすかなどの質問に答えていただき、息切れのグレードを測り、回答結果の数値が大きいほど症状が強いと判断できます。
Grade | 息切れの症状 |
---|---|
0 | 激しい運動をした時のみ息切れを起こす |
1 | 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れを起こす |
2 | 同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時に、息切れによって立ち止まることがある |
3 | 平坦な道を約90cm、あるいは数分歩くと息切れによって立ち止まることがある |
4 | 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えなど日常的な軽動作をする時にも息切れを感じる |
治療
息切れの治療は、原因に応じて治療法が大きく異なりますので、まずは明確な原因の特定が大切です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息が原因の場合は、吸入気管支拡張薬や吸入ステロイド薬による治療を行います。
間質性肺炎が原因の場合では、抗線維化薬の内服による治療を行います。胸に水が溜まっている場合には、針を刺して溜まっている液体をその性質を調べる必要があるため、関連病御員を紹介いたします。
慢性心不全が原因の場合では、利尿薬や降圧薬によって心臓の負担を軽減する治療を行います。
低酸素血症や肺高血圧を発症している方の場合は、在宅酸素療法を導入するケースがあります。